1.「音楽の切っ掛けは何だっけ。
2.父の持つレコードだったかな。
3.音を聞くことは気持ちが良い。
4.聞くだけなら努力もいらない。5.
6.前置きはいいから話そう。
7.ある時、思い付いたんだ。
8.この歌が僕の物になれば、この穴は埋まるだろうか。9.
10.だから、僕は盗んだ」11.
12.嗚呼、まだ足りない。全部足りない。
13.何一つも満たされない。
14.このまま一人じゃあ僕は生きられない。
15.もっと知りたい。愛を知りたい。
16.この心を満たすくらい美しいものを知りたい。17.
18.「ある時に、街を流れる歌が僕の曲だってことに気が付いた。
19.売れたなんて当たり前さ。
20.名作を盗んだものだからさぁ!21.
22.彼奴も馬鹿だ。こいつも馬鹿だ。
23.褒めちぎる奴等は皆馬鹿だ。
24.群がる烏合の衆、本当の価値なんてわからずに。
25.まぁ、それは僕も同じか」26.
27.嗚呼、何かが足りない。
28.これだけ盗んだのに少しも満たされない。
29.上面の言葉一つじゃ満たされない。
30.愛が知りたい。金が足りない。
31.この妬みを満たすくらい美しいものを知りたい。32.
33.「音楽の切っ掛けが何なのか、
34.今じゃもう忘れちまったが欲じゃないことは覚えてる。
35.何か綺麗なものだったな。36.
37.化けの皮なんていつか剥がれる。
38.見向きもされない夜が来る。
39.その時に見られる景色が心底楽しみで。40.
41.そうだ。
42.何一つもなくなって、地位も愛も全部なくなって。
43.何もかも失った後に見える夜は本当に綺麗だろうから、
44.本当に、本当に綺麗だろうから、45.
46.僕は盗んだ」47.
48.嗚呼、まだ足りない。もっと書きたい。
49.こんな詩じゃ満たされない。
50.君らの罵倒じゃあ僕は満たされない。
51.まだ知らない愛を書きたい。
52.この心を満たすくらい美しいものを知りたい。53.
54.まだ足りない。まだ足りない。
55.まだ足りない。まだ足りない。
56.まだ足りない。僕は足りない。
57.ずっと足りないものがわからない。
58.まだ足りない。もっと知りたい。
59.この身体を溶かすくらい美しい夜を知りたい。