1.騒ぐ砂の海。眠る空の果実。
2.夜に消えた蜃気楼。絹の轍を征く。3.
4.そこに現れた、白い異国の美女。
5.“逃げるならこっちだよ”
6.アルフ・ライラ・ワ・ライラ。7.
8.君に巡逢[であ]えた夜のことは、まるで魔法みたい。
9.恋に堕ちた。
10.それだけでもう僕は、どんな呪文さえ効かない。11.
12.千夜に一夜の夢をみたいと、彼女はひとり逃亡[にげだ]した。
13.じゃあ、知らない世界を観に行こうか。
14.“僕を信じて”
15.見慣れない服、気になる靴に、彼女は少し微笑んだ。
16.君の自由[ねがい]ならば叶えてあげる。
17.リ・ドニア・ファウク。
18.このまま、ふたりきりで。19.
20.……だけど現実は、まるで囚われの身。
21.身分[うまれ]が違いすぎる。君は異国の令嬢。22.
23.権力[ちから]の無い者は、傍にさえいられない。
24.こんな僕じゃあダメだな。
25.アルフ・ライラ・ワ・ライラ。26.
27.ふと気がつけば午前0時。これは誰の影?
28.なぜか異国の帽子屋と兎が、僕を禁忌[ハラム]へと手招く。29.
30.彼女の自由[ねがい]叶えたいなら、向かう先はただひとつ。
31.その指輪が権力[ちから]をくれるという。
32.“俺を信じろ”
33.危険な旅路。荒れ狂う砂塵。命さえもわからない。
34.でも君のためなら何だっていいさ。
35.冷たい砂の上で孤独[ひとり]。36.
37.“افتح يا سمسم”38.
39.魔法の指輪が、僕の心を権力[サルタン]の獣に変える。
40.僕の憤怒[すべて]さえも呑み込んで咲く「アルカナの薔薇」。
41.「仮面の裏」に隠した野望、気付いていたはずなのに。
42.君の自由[ねがい]はもう叶えられない。
43.例え愛を失っても、また僕を信じて。
44.……君を愛してる。45.
46.そして僕は、ひとり恋をした。