平べったい月を　指で剥がそうとして
端っこだけ残って　今日も夜にくっついている
頭の片隅で　未だこびりついている
あのシミのように

真っ黒な画面に　反射するその顔の
滲んだ輪郭線　溶けだしてしまいそうだ
もしこのまま全部　混ざり合っていくのなら
楽しみなような

深みがあっても　重みがあっても
それらしいだけで中身がない
思い描いている理想の人物像と違う
嘘ではないけど　不足もないけど
頷けるだけの根拠がない
あぁ　なんて薄っぺらいんだろう

削った命で　拵えたスープは
なんとも味気なく　美味くも不味くもねぇな
闇雲に歩いて　帰り方を失っている
あの月のように

希望があっても　思想があっても
伝えられるだけの立場じゃない
そのくせ人一倍　主張したいみたい
剣もあるけど　鎧もあるけど
扱えるほどの技術がないや
なんでなんだよ

この声は届くのか　何色かわかるのか
そう叫ぶ誰かの言葉は聞かないくせに
それで良いらしい　この平面世界

矛盾があっても　不純であっても
塞ぎこむほどの理由じゃない
思い描いている理想と現実は違う
期待しないけど　期待してんだよ
諦めないことは罪ではない
そうやって　へばりついているんだよ