1.路傍に咲いている花を見たんだ。とても小さくて、
2.名前も分からないけれど、これは僕が好きな花だ。
3.仰いだ夜空、月が綺麗だ。ずっと見惚れていた。
4.無為に過ごした今日だけど、それでもいいと思えた。5.
6.「悪いことなんてひとつも無いぜ。」なんて言いたげな、
7.澄んだ青空の下で僕は絵を描いていた。
8.何をしようにも勝手だ。何処へ行こうと自由だ。
9.隣町で花火が上がるらしい。僕は駆け出した。10.
11.空に咲く火の花を見た。背景の夜空と重なった。
12.星だけが残って消えた。いつかまた、思い出せるかな?
13.いつか、いつか、いつか。
14.いつか、いつか、いつか。
15.いつか。いつか。いつか。16.
17.海の見える街を歩いた。一人で歩いた。
18.見上げた空にはかなとこ雲。夏影でひと休み。
19.いつか見た火の花や月明かりを手帳に書き留めた。
20.さよならも言わず去っていくから、忘れないように。
21.一際小さな蝉時雨。じきに夏も終わる。
22.夕暮れに町が染まってる。陽だまりで立ち止まる。
23.燃える雲を見た。24.
25.陽が落ちてただ涼む。薄暮れの青い夜。
26.秋めく風の匂い。足音ひとつだけ。
27.ただ、ただ愛おしくて。28.
29.忘れていくことばかり増えたら思い出って言葉は役立たずだね。
30.遠く咲く、あの日の花も、今じゃもう思い出せないんだ。31.
32.本当に大事だったはずなのに、それでもいつかは消えていくんだね。
33.変わらないものなんて無いけどさぁ。
34.ただ、ただそれが悲しくて。35.
36.この夏を、ただひたすらに、書き留める。