夜よるは続つづいて 街まちを包つつんだ
薄うすい春はるの匂においと温度おんど
百ひゃく倍速ばいそくで過すぎる季節きせつがすり抜ぬけてく
消きえぬ不安ふあんが締しめ付つけるんだ
壊こわれそうなほど強つよく
遠とおくで滲にじむ箒星ほうきぼし

自由じゆうという刑けいに
かけられたようだ
遣やる瀬せのないまま叫さけびたい衝動しょうどう
誰だれにも知しられず
何処どこにも行ゆけずに

月つきへ向むかう列車れっしゃは今夜こんや旅立たびだつ
切符きっぷはポケットの中なかに
命いのちを撫なでる日々ひびでは
変かわらずと知しっているのに

知しらぬ花はなの名前なまえも
眠ねむった夢ゆめも
途中とちゅう駅えきで誰だれかを待まってる
灯ともる勇気ゆうきを
星ほしめぐる詩うたを

崩くずれかけた小ちいさな部屋へや
固かたく閉とざされた扉とびらに手てを
開あけ放はなった
春風はるかぜが呼よぶ方ほうへ
定刻ていこく前まえ 振ふり向むかずに
心こころより先さきに足あしを出だす
夢現ゆめうつつのまま

今夜こんや
月つきへ向むかう列車れっしゃに僕ぼくは乗のり込こむ
切符きっぷを硬かたく握にぎりしめ
旅たびの汽笛きてきが鳴なる
何処どこか遠とおく連つれて行いってくれ
光ひかる街まちが窓辺まどべに
高たかく登のぼって
夜空よぞらを撫なでるように駆かけてゆく
灯ともす明あかりを
星ほしめぐる詩うたを