遠とおく遠とおく 向むこうまで伝つたう薄闇うすやみ
孤独こどくは嫌きらいでした
弱よわく弱よわく 脈打みゃくうつ鈍にぶい痛いたみは
滞留たいりゅうするオレンジに変かわる

ぎこちない呼吸こきゅうの延長えんちょう 自由じゆうが欲ほしかった
淡あわい淡あわい誘蛾灯ゆうがとう 昨日きのうみた夢ゆめ

愛あいに逆さからって走はしり出だす 透明とうめいな声こえが笑わらう
天使てんしを背負せおって逃にげるのは困難こんなんだろう
何十なんじゅうの悲哀ひあいとうねり 酩酊めいていの眼下がんかに広ひろがる
不意ふいに垂たれ落おちた記憶きおくから
腐くさってしまうよ

深ふかく深ふかく 刺ささった怨嗟えんさと流ながし目め
理屈りくつは嫌きらいでした
弱よわく弱よわく 脈打みゃくうつその光ひかりを
侵犯しんぱんする黒くろい霧きり 君きみが笑わらう

終おわらない夢ゆめ

最後さいごに残のこった寂さびしさを滑稽こっけいな嘘うそで飾かざる
薄うすら笑わらった虚うつろな眼めを汚よごしても

愛あいに絡からまって滲にじむ夜よる 透明とうめいな声こえが笑わらう
全部ぜんぶを背負せおって逃にげるのは疲つかれたな

遅効性ちこうせいの腐敗ふはい臭しゅう 見上みあげた空そら ねえ 止とまんないよ
処刑しょけい台だいで歪ゆがんでいる天使てんしが また 叫さけんでいる
無表情むひょうじょうな歌声うたごえに満みたされたら もう 覚さめない

何度なんども縋すがった記憶きおくまで
腐くさってしまうよ