のぼる　日陰　西日の熱
窓を差した光
ベルを鳴らす　テーブル席
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今日の朝はブレンドで
秤を揺らしましょう
粗挽きに風通し
ひとさじ分のミルクで

膨らむ　泡と　夢の類に
身を任たら
満ちる　小粒の香りは
少し苦いから
冷めないうちにどうぞ。
サイフォンが鳴き出す前に
ため息も砂糖と混ぜたら　ほら

回るクレマの渦
エスプレッソの雲
私のイメージを
映し出したお城

まわる　おりる　螺旋飾り
私だけの時間
オレンジとベルガモット
たまには紅茶も

休日の朝はシングルで
フルシティの濁り
深煎りの苦味さえ
ひとさじ分の幸せ

燻[くゆ]られた息と　炭の香り
身を委ねたら
舌の上　踊りだすショコラ
後味はビター
少し冷えたフルーツで
カトラリーの柄が踊る
ため息も　角砂糖と溶けて　ほら

煙るライトの線
ガテマラの酸味で
私のイメージを
混ぜ合わせたお城

開いた手紙
蝋のスタンプ　剥がしてみたら
丸くってピーベリーみたいな字で
綴られた過去
まとめて淹れるから
住人達[みんな]が騒ぎ出す前に
ため息を窓から逃して　ほら

回るクレマの渦
ベルが鳴る木のドア
綺麗で窮屈な
私だけのお城