<Episode of AZUL> 歌詞

『MYTH & ROID - <Episode of AZUL>』収録の『MYTH & ROID Concept mini album〈Episode 1〉『AZUL』』ジャケット
歌手:

MYTH & ROID

よみ: エピソードオブアズール
発売日: 2023.10.25
作詞: MYTH & ROID
作曲: MYTH & ROID
編曲: MYTH & ROID

これは遥か昔、遠い国の、小さな島の、ある街の物語──


ある日、海岸に、ひとりの少年が打ち上げられた。
少年はどこから来たかも、自分がなにものかも覚えていなかった。街の人々は、これを海の神の思し召しだと考え、ある老夫婦に少年を引き取らせた。
老夫婦は、遊び道具として、少年に絵筆を与えた。少年は少しずつ、絵を描くことを覚えた。
少年が描いたのは、人。すべてを失った空虚な少年にとって、街の人々の豊かな表情は、あまりにもまぶしかった。心が躍ると、筆も踊った。少年の絵は街で評判になり、人は彼を「神の手を持つ少年」と呼んだ。


数年の時が過ぎ、老夫婦は病に倒れた。少年を残し、あっけなく亡くなった。
少年は、二人の姿形を残そうと、彫刻を作った。それはまるで、生き写しのようだった。人々は、その生々しさに恐怖を抱いた。少年が老夫婦の魂を奪ったと騒ぎ立て、彼を「死神の手を持つ少年」と呼び、街のはずれへ追いやった。
少年には人々がひどく醜く見えた。怒りと悲しみの混じった、とても黒いものが胸に満ちた。しかし少年は、再び彫刻を作り始めた。今度は、自分を見て恐れおののく街の人々を作り始めた。


さらに時が経ち、子供たちが噂した。やがて海が上昇し、街が沈むと。
大人たちは噂を耳にすると恐怖にかられ、それを真実かのように信じた。噂は海の神に届き、明くる日、海が静かに上昇をはじめた。
人々は我先にと街を出ていった。しかし、少年は、街に残ることにした。少年の生涯は、街とともにあった。空虚な心は、人々の感情と人生に焦がれ続けた。最後まで街とともにいたい。愛も悲しみも、すべてをくれたのはこの街なのだから。
海は、次第に街を飲み込んでいった。
少年は最後に、自らの彫刻を作った。憂いを宿し微笑むその表情は、少年そのものだった。沈む街を見届けると、少年はどこともなく歩き出した。胸に残る、微かな熱を携えて。


リンクをコピー

歌手: MYTH & ROID
ステータス:

※歌詞のご指摘はこちら

  • MYTH & ROID <Episode of AZUL> 歌詞

VIDEO

MYTH & ROID『<Episode of AZUL>』の動画

感想を聞かせて下さい:

【歌詞リリ】をフォロー

MYTH & ROID <Episode of AZUL> 歌詞