埃をかぶったアップライトピアノ
色褪せた五線譜の落書き
大人になり過ぎた僕としては
そのまま忘れてしまいたかった

生きることに精一杯で
明日を遠ざけたくなって

何もなかった僕が好きだった物

間違って間違って繰り返して
大人にまた一つ近付けるように
何度だって何度だって躓いては
好きを削って「すごいね！」を欲しがった

宿題が一つ増えるだけさ
ドのシールをはがして　その気になってみよう
夢とは何かわからないまま
喜んでくれるのがただ嬉しかった

楽しいことは他にもあって
趣味というものは長続きせず。。
好きの補給は何でもアリで
やるべきことは待ってくれなくて

暇つぶしに音を聴いて
目の前の日々に疲れきった

何もなかった僕が忘れた物

間違って間違って繰り返して
大人にまた一つ近付けるように
何度だって何度だって躓いては
好きを削って「すごいね！」を欲しがった

ただ楽しいだけで良かったのに
夢なんて大層なものでもなかったのに
初めて触れた時のことを
あの時の微熱を胸にしまって

思い出がチクチクする
「逃げてしまった」と苦しめる
誰も僕を責めないのに
弱さを突き付けられるようで

間違って間違って繰り返して
憧れたあの音　弾けた時のように
何度だって何度だって躓いては
まだ見ぬ世界の好きを追いかけて

ただ楽しいだけで良かったから
夢なんて大層なものでもないから
初めて触れた時のことを
感動の微熱を思い出して

たまには触るのも悪かないかな

……なんて。