無口で頑固で大柄で
いつもしかめっ面で　おいと呼ぶ
でも私よりも甘党で
孫が喜ぶだろうと　こっそりと手品習って

お茶とか風呂とか　この人は
二文字以上喋れないのかと
大昔くれた何通もの
ラブレター思い出して　泣いた日もあった

私がいなくなったら
この人は何もできないと思っていた
あなたのいない　椅子をただ眺めて
何もできずにいるのは　私

おい 帰ったぞ　おい 行ってくる
二文字の後に　二人の日々があった
時代遅れでも　なんと言われても
あなたと生きた時代が　私の全て

ついつい長風呂した時は
溺れているんじゃないかと何度も
おい　とドアを叩くから
うっとおしいと言ったけど　嬉しかった

あなたがいなくなって　こんなことばかり
やっと思い出してるの
伝えていないことだらけだったね
どうか　許してください

おい 大丈夫か　おい 無理するな
二文字の後に　あなたの愛があった
時代遅れでも　なんと言われても
あなたと生きた時代を　私は愛す

二人駆け抜けた景色は変わって
あなたが　人知れず戦った姿も
もう私しか覚えていないけど
その時までちゃんと　抱きしめて生きる

帰ったぞ　おい 行ってくる
二文字の後に　二人の日々があった
時代遅れでも　なんと言われても
あなたと生きた時代が　私の全て
あなたと生きた時代を　私は愛す